2018年度 卒業生のこれから②

日本体育大学 トライアンファントライオン
第60期

安藤 佳祐Keisuke ANDOU #73
体育学部体育学科競技スポーツ領域 4年生 都立片倉高校出身

<進学という選択>
安藤が高校生だった頃、大学進学を希望していた。「フットボールを続ける」ということも考えていたが、「4年間で何を学べるか」も重要だった。そんな時、日体大の監督が直接声をかけてくれたことがきっかけで進学を考えるようになった。
「例えば経営学などは、自分が学びたいというイメージがあまりできなかった。日体大は体育が専門。自分自身が体育好きだったこと、また高校時代の顧問も日体大を経て教員になっていたこともあり、漠然とではあるが将来をイメージできたのが大きい。」
高校でプレーしていたのはFBとTE(※1)。ボールを持ちたかったのでTEをやりたいと思っていた。しかし入部してみたら高校とは異なる、TEを使わないフォーメーションであることを知り、そこからOL(※2)へ。
高校時代もOLはプレーしていたが、技術的・戦術的指導に細かな指導を受けるのは初めてだった。「日体大にはOLコーチに井澤さん(※3)がいて、一からいろいろ学べて、OLというポジションが面白くなってきた。」

※1「FB(フルバック)とTE(タイトエンド)」:パスをキャッチしたり、ボールを持って前に走ったりする、オフェンスのポジションのこと
※2「OL(オフェンスライン)」:パスを投げる人を守ったり、ボールを持って走る味方を相手から守る役割。前にいる大きい人。基本的にボールに触ることはできない。
※3「OLコーチに井澤さん」:日体大アメリカンフットボール部44期。本学卒業後、社会人実業団でプレーヤーとして活躍。元日本代表選手。https://www.47news.jp/197715.html

<平常心>
ゲームでいかに平常心を保つかを考えていた。練習でできるのは当然、試合でどれだけ結果を出すかが自分達に求められていると感じていた。そのため試合中はもちろんのこと、常日頃から意思疎通を行う事を心がけた。
「サイドラインではプレーヤーと積極的にコミュニケーションを取ると決めていた。そのおかげか、例年以上に会話が増えて意識共有が進んだと思う。選手同士で考えている事を感じながらプレーできた。意思疎通の機会が増え、試合中の情報共有が進み、相手に対応してプレーできた。純粋に楽しかった。」
同じ目的を持つ相手と「思いを共有する」という行動が、安藤を一つ成長させた。

<現役のリーダーへ伝えたいこと>
安藤は2年生から試合に出場した。しかし怪我に悩まされ、3年生の春に再度怪我をしてしまってからはベストパフォーマンスが発揮できないという苦しい2年間が続いた。
4年生になってからはキッキングリーダー(※4)に立候補した。「勝ちたい」その思いが背中を押した。自分自身がパント(※5)を蹴ってきたこともあり、キッキングに対しての理想とする形を思い描いていた。また安藤の理想とするリーダー像は「後輩と同じ目線で関わっていく」というもの。トップダウンは自分には響かなかったからだ。後輩が話しやすい先輩であろうとした。自分らしいリーダーであろうとした。
しかし秋シーズンが始まると、思い描いていたプレーがなかなかできないこともあった。初戦ではキッキングチームでミスが発生。ゲームの流れを変えられてしまった。自分はリーダーとして何をしてきたのか?何を残せたのか?悔しい思いが消えない。そして、後輩にはそんな思いをしないで欲しいと願っている。

※4キッキングリーダー:「攻・守・蹴」の「蹴」をまとめるリーダー。
※5パント:味方のディフェンスチームがプレーしやすいように、相手陣地深くまでボールを蹴り込むこと。

<安藤のこれから>
大学卒業後は人に関わる仕事がしたい、漠然とそう考えていた。3年次に企業が開催するインターンシップに参加したが、民間企業で働くという事に、手応えを掴めずにいた。そして4年次の春、教育実習に行って率直に楽しいと感じた。
「しんどいこともあったが、自分が伝えたことに対してリアクションがあり、人の成長を近くで実感できる仕事に面白みを感じた。」
この春からは、中高一貫校で保健体育教員の非常勤講師として勤務する。そこにはフットボール部があり、教諭として、フットボール部のコーチとして、生徒の近くで成長に携わる機会がある。安藤が生徒と同じ目線で対話し、話を聞いてくれる先生になることは容易に想像できる。
そして最後にこう話してくれた。

「今振り返っても自分の選択は良かったと思う。」

こういう学生を輩出できたことを嬉しく思う。そして安藤のこれからの仕事は、こう話してくれる学生を輩出することだと感じている。きっと安藤先生ならできるだろう。優しさの根っこに困難を乗り越えた強さを持っているから。

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2018年度 卒業生のこれから①

日本体育大学 トライアンファントライオン
第60期主将

鈴木 大輝
Hiroki SUZUKI】 #29
体育学部 体育学科 スポーツ教育領域 4年生 都立三田高校出身

「考えて行動するチーム」

<主将就任>
3年生の時、キッキングチームのリーダーを務めた。リーダーをやるようになって、それまでの物事の考え方や視点が変化した。
「自分が望んでいることを、うまく実行してもらえない。でもそれは相手が悪い訳では無く、自分の伝え方に問題がある。どうしたら伝わるか、それを常に考えていた。」
ここで試行錯誤した経験がその後に活きている。その頃から、チームパフォーマンス向上のために行動・発信していた。「もっとこうした方が良い」という理想があった。それまで得たものを使って主将としてこのチームを強くしたいと感じていた。主将を務めたいと思った。そして周囲の後押しもあり、鈴木は主将となる。

「考えて行動すること」鈴木がこのチームに足りないと感じていることだった。チームのための行動ではなく、「自分が活躍できればいい」という自己のための行動を目にすることもあった。そんな時、気づいたことがあれば話をして伝える。自分の中で「思う」だけでなく、相手に対して「伝える」という行動を起こせば、自分の信念を理解してくれた。
ひとりひとりが主体的に考えて行動できれば、チームはより良くなるという確信がある。
トップダウンでチームを作って行くのは嫌だった。チームメイトと話し合いを重ねて、納得してからスタートを切った。対話を通じてチームを作って行く、ファシリテーター的な存在であること心がけた。

〈「主将」であることと「怪我」〉

3年生の秋、鈴木は肩を負傷した。決して軽いものではなく、手術という選択肢もあった。しかし手術は回避していた。なぜなら手術すればプレーができなくなる。自分はプレーで、行動で示さなければならないと考えていたから。自分をだましてプレーを続けた。そして主将に就任。怪我は相変わらず良くならないが、「できる」と自分に言い聞かせてプレーを続けた。しかし4年生の春、試合中のタックルによって、手術以外の選択肢が無くなった。手術終了後、今自分ができることは何か考えた。秋のリーグ戦開始までに、自分ができることをやろうと思った。1日も早く怪我を治し、プレーを再開すること。そのため必死にリハビリに取り組んだ。防具を着けて動けるまでに回復したが、フットボールの動きをして落胆。全く今までの運動能力に戻らないことに焦っていた。そしてそのままリーグ戦に突入したがタックルすることもままならず、満足いくプレーはできなかった。

「クソキャプテン」といじられる。しかしこの現実を受け入れるしかなかった。

それでもチームに対する思いは変わらない。今自分にできることに取り組む。思うだけではなく、行動に移す。ブレずにやり抜いた。主将になってからは、自分をコントロールする術を身につけた。自分だけを見ていた視点から、自分だけで無く周囲にも細かく目を配るようになっていた。
「怪我してなければいけたのに」と考えることもあったが、無かったことにはできない。今からどれだけ強くなれるかにフォーカスした。主将として、最後まで自分で決めた「自分で考えて行動する」ことを言葉と行動で貫いた。自分の中でやることは明確でシンプルだった。

試合に負けたら、次はどんな取り組みが必要か。
1部リーグ残留を賭けた試合で敗れた。落ち込みと不安を感じた。「もし降格したら、自分の責任だ。」幸い次戦まで5週間あったため、最初の2週間は療養に当てて気持ちを切り替えた。そして最終戦に向けてプレーできる体に仕上げていった。思うように動かなかった体を必死で動かした。手術明けの肩でタックルの練習を続けた。

そして入替戦。絶対に負けられない緊張感の中、フィールドではいつも通りプレーする鈴木がいた。試合を決めるインターセプトで、今までのつらかった思いが報われた気がした。

〈後輩へ残したいこと〉
プレーする以上、弱音は吐けない。でも一人ですべてを抱え込む必要は無い。この日体大の先輩や卒業生に話を聞いてもらうこともできる。先輩は温かく受け入れてくれる。
そして「考えて行動するチーム」であり続けてほしい。続けることで、それが日体大の文化になると思うから。

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